模倣対策Q&A Question

「模倣対策について、よくある質問」を集めました。
1. 模倣対策に関する基本的な質問
- Q1 模倣されるのは「有名税」という話を聞きますが、なぜ対策が必要なのでしょう?
- Q2 あまりにも模倣品が多く出回りすぎていて、全てをなくすことができるとは到底思えません。
放置するしか手がないのですが問題があるでしょうか?
- Q3 模倣品を見つけたら、最初に何をすべきですか?
- Q4 模倣品の発生を抑えるためのポイントを教えてください。
- Q5 模倣品はどうやってみつければいいですか?
- Q6 模倣品退治における一般的な実務上の手順(流れ)を教えてください。
- Q7 社内では、どの部門が模倣対策を担当したらよいでしょうか?
2. 法律事務所と調査会社に関する質問
- Q1 よい弁護士を選ぶポイントはなんでしょうか?
- Q2 調査会社からの情報は、信用できるでしょうか?
- Q3 弁護士事務所・調査会社の調査費用が妥当なものかわからないのですが「相場」のようなものはあるのでしょうか?
- Q4 弁護士事務所を使わずに、調査会社だけで対策を行ってもいいですか?
- Q5 調査会社から模倣品発見の情報がありましたが、どのように対処すべきですか?
3. 取締行政機関に関する質問
- Q1 税関から「模倣品ではないか」との連絡を受けた場合、どう対応すべきですか?
- Q2 海外の模倣品被害について、日本国内で相談窓口はありますか?。また、どのようなことを期待できますか?
- Q3 中国の模倣品対応機関で、AIC(工商行政管理局)・TSB(技術監督局)・PSB(公安局)の名前を聞きますが、違いを教えてください。
- Q4 模倣対策として、税関での水際取締は有効でしょうか?制度利用のための留意点を教えてください。
- Q5 模倣品の生産国からの輸出を阻止するには、どのような方法がありますか?
4. 対策費用に関する質問
- Q1 模倣対策を限られた予算で最大限の効果を出すためには、どのような点に注意すればよいでしょうか?
- Q2 模倣対策の費用は日本の本社が出した方がよいですか? それとも被害を受けている現地の子会社が出した方がよいですか?
また、本社が負担するとすれば、社内では、どこを負担部門とすべきですか?
- Q3 模倣対策は、そもそもどのくらいの費用がかかるものなのでしょうか?
- Q4 卸売店で、当社の偽物が発見されました。この店を取り締まりたいのですが、費用はどれくらいかかりますか?
5. その他
- Q1 摘発で差し押さえられた模倣品は確実に処分されるのでしょうか?
- Q2 模倣品業者の摘発後、どの程度の処罰が期待できるのでしょうか?
- Q3 模倣対策の法的根拠は何ですか?
- Q4 模倣品差し押さえに社員(商標権者)が立ち会うのは危険だということをよく聞きますが、立ち会うことのメリット・デメリットは何ですか?
- Q5 海外の模倣対応は日本の本社が積極的に動くべきですか? 現地の子会社等に任せた方がよいですか?
- Q6 商標権は侵害されていませんが、当社製品と模倣品の形状が類似しています。どのような法的追求方法が考えられるでしょうか?
模倣対策Q&A Answer
1. 模倣対策に関する基本的な質問
Q1
模倣されるのは「有名税」という話を聞きますが、なぜ対策が必要なのでしょう?
A
放置しておくと、
(1)真正品の売上へのダメージ
(2)劣悪な品質の模倣品によって製品事故が発生した場合のブランドイメージの毀損
(3)安価な模倣品の進出による価格破壊
(4)真正品ディストリビュータからの信用の低下、等が発生すると考えられます。
また、何らの対策も講じないということになりますと、模倣品を作る側はリスクを負わずに製造に専念できるわけですから、ますます被害が広がるという結果 になりがちです。つまり、模倣品が出回り始めた初期の段階であれば、それほどの対策費用がかからなかったのが、手がつけられないほど流通 してしまった結果、何倍もの出費を余儀なくされることにもなりかねません。できるだけ早めの対策を行っておくべきでしょう。
Q2
あまりにも模倣品が多く出回りすぎていて、全てをなくすことができるとは到底思えません。放置するしか手がないのですが問題があるでしょうか?
A

模倣品を放置することこそ問題です。何も対策をしないと、次第に模倣品のシェアが真正品のシェアを上回り、模倣品の品質がそのブランドの品質と認識される様になり、結局はそのブランドに対する信頼を失い、市場から締め出されることになります。ブランドに対する信頼が失われはじめると模倣品は急速に姿を消しますが、その時には市場におけるそのブランドの価値は低いものになっています。これを防止するためには、件数は少なくとも地道に摘発を行ない、模倣対策を行なっていることを宣伝し、模倣品業者に対して一定の圧力を掛けておく事が必要です。権利を有していても、長期間に渡って模倣を放置した場合には、懈怠(laches権利行使を怠ること)とみなされ、いざ権利行使をしようとした場合に、認められない可能性もあります。
Q3
模倣品を見つけたら、最初に何をすべきですか?
A

ここでは、費用をかけて何らかの対策を講じるという前提でお答えします。最終的には、供給元(製造業者、卸販売業者等)を特定し、取締行政機関に申し立てることで、模倣品を差し押さえることになりますから、模倣品を発見したのが小売店店頭であったとすれば、その店から仕入先に関する情報を入手する必要があります。この作業は、一般的に調査会社に依頼し、その調査員が購入客を装って店を訪問し、購入交渉の過程から仕入先を聞き出すというかたちで行われます。
Q4
模倣品の発生を抑えるためのポイントを教えてください。
A

多分、どの権利者も知りたい内容であることに間違いないでしょうが、大まかにわけて以下のポイントがあると考えます。
(1)発生初期段階での対応に重点を置く。
(2)調査会社等を使い、常に市場に対する監視を怠らない。
(3)模倣対策に関する厳しい姿勢を模倣品業者に対し示すよう努力する。

(1)は、模倣品製造業者といえども、製造する模倣品が売れるかどうかは市場に出してみないことには分からないはずです。そうであるとすると、一度に大量 の製品を流通させるよりも、商標権者の顔色をうかがいながら、少しづつ供給してゆく方針をとるはずであり、その時点での対策は、増産のための投資をしていない段階ですから、撤退もしやすい状態にあります。要は、いかに模倣品業者のやる気をなくすかの問題であり、利益がでないうちの対策が重要になるのは自明であると思います。
(2)については、調査会社との関係をうまくつくることにより(定期的な発注等)、彼らの意識を商標権者の権利を侵害する模倣品に向けることが重要です。また、現地法人等、市場に近い側で活動する人たちの定期的な調査活動も大切になってきます。しかし、本来の営業活動に忙しい彼らに対し意識付けをするのは容易なことではなく、やはり、まず調査会社を使った監視体制を取ることが中心となるでしょう。
(3)は、きめ細かい継続な活動が必要であるという意味です。勿論、費用もかかることですから、自ずと限度はありますが、商標権者の意思を模倣品業者にいかに伝えるかが重要となります。彼らの世界も、狭い範囲で情報が行き交いますから、侵害に対し厳しい態度で接する商標権者については、一定の注意を向けるはずです。要は、何もしない、という態度が模倣品業者に最もなめられるということを意識してください。
Q5
模倣品はどうやってみつければいいですか?
A

模倣品は下記のようなさまざまな形で見つけることができます。ほとんどの場合、マーケットなどの現場や、外部から得た情報によって見つかることが多いと思われますが、模倣品発見のために大切なのは、このような模倣品発見につながる情報源を広く持つことです。

<弁護士事務所・調査会社>
弁護士事務所・調査会社のもとへ入った情報を権利者に知らせてくれます。ただし売り込みの場合も多く、実際に対応すべき案件かどうか、慎重に判断する必要があります。

<税関>
税関からの照会や問い合わせによって模倣品が発見されることがあります。税関での模倣品発見は、水際で差し止められること、輸出元・輸入先が判明することもあるなどから、税関との接触は絶えず保つことをおすすめします。

<商標登録出願の監視>
商標登録簿や商標公告を監視することで、類似商標を発見できます。このような調査サービスを常に行ってくれる会社もありますので、継続監視を依頼するのも一つの手段です。

<商品展示会>
商品展示会は調査会社の情報源のひとつとなっています。自社商品に関する情報をより多くもっている自社の社員による監視が効果的です。

<自社員・ディストリビュター>
商品をよりよく把握している自社員等が、マーケットにおいて実際に販売されている模倣品を発見することがあります。したがって、自社員等への意識付けが重要です。

<修理品>
修理品としてサービスセンターなどに持ち込まれた製品が実は模倣品であったと判明することがあります。ここでも、自社員等への意識付けが重要です。

<雑誌・インターネット>
国内外の関連雑誌/ウェブサイトを閲覧することも模倣品発見に効果的です。

<顧客・消費者団体/他社>
顧客や消費者団体からの模倣品に関する問い合わせ、苦情なども重要な情報となります。また、同じように模倣対策に取り組んでいる他社とも情報交換し、互いに協力し合うことも大切です。
Q6
模倣品退治における一般的な実務上の手順(流れ)を教えてください。
A.
模倣品を発見した際には、本当に模倣品であるのかを確認すること、対応できる権利(商標権等)があるのかを確認することがまず必要になります。模倣品であることが確認され、対応できる権利がある場合は、模倣品製造者、販売者、流通 ルート等に関し、詳細を調べます。その際は、調査会社や弁護士事務所とよく相談し、供給元特定のための調査依頼をすることになります。そして、模倣品業者への警告状発送、取締行政機関への取締依頼、または必要であれば刑事・民事訴訟等の対応をします。
その際、調査会社や弁護士事務所の選択には十分注意されることをおすすめします。模倣対策の成否は、これら代理人の能力に左右されるからです。
Q7
社内では、どの部門が模倣対策を担当したらよいでしょうか?
A
各社の事情に合わせて決めることが望ましい思われますが、その際、法律的な判断力、予算を獲得・使用する際の自由度、現地の取締行政機関・弁護士事務所あるいは調査会社との連絡のとりやすさ等を考慮する必要があります。多くの企業では、本社または現地法人の、知的財産部門、法務部門が模倣対策を担当しているようです。その他、本社または現地法人の各事業部門、営業部門が担当している企業もあります。  なお、実際には社内の各部門が分担協力して模倣対策を行うことが多いようです。例えば、現地における模倣品の発見は現地法人の営業担当が行い、弁護士事務所あるいは調査会社を利用した詳細な調査と摘発の指示は知的財産部門が担当し、押収品の真偽鑑定は再び現地法人の営業担当、といった具合です。
2. 法律事務所と調査会社に関する質問
Q1
よい弁護士を選ぶポイントはなんでしょうか?
A.
1) 迅速な応答
意思疎通を図る為の大前提です。模倣対策においては、事態が急速に展開する事があり、迅速な対応ができないと機会を逸したり、不利に展開する事があります。こまめな交信を厭わず、きっちりと仕事を積み重ねていく弁護士を選ぶ事が大切です。問い合わせに対し、なかなか返答が帰ってこないといったようであれば、あまり見込みはありません。
2) 公平な見解
模倣品対策を進めていく上で、さまざまな時点で決断をしなければならない場面に遭遇します(対策方法の選択、決着の付け方、条件交渉など)。どの方法が適切か弁護士から意見、提案をとることがありますが、その際、考えられる選択肢について、客観的にメリット/デメリットを整理し、顧客が考慮すべきポイントを指摘した上で、顧客の決断を促しその意向を最大限に尊重する弁護士が望ましいと思います。 いずれにせよ、代理人としてこちらの意向を代弁し解決を図る為には、信頼関係が第一でそのためにはお互いの考えている事をよく知り合えることが大切です。勿論、そのような弁護士は簡単に見つかるわけではありません。日本商標協会模倣対策委員会では、委員相互で弁護士に関する情報を日常的に交換しています。そのような制度を利用するのが最も効果 的であると思います。
Q2
調査会社からの情報は、信用できるでしょうか?
A

信用できない場合もありますので注意が必要です。例えば、模倣品業者と通じていたり、真贋の判断をしないまま模倣品として売り込んでくる場合等があります。ですから、調査会社の信頼性、能力など不明な場合は、過去の調査実績などについての情報を要求したり、他の企業の評価を参考にするのも良いと思います。
また、それも難しいときは、支払いを成功報酬とし、結果に満足出来ない場合は減額を要求するか、場合によっては全く支払いをしないなどの条件を事前に取り決めをして調査指示を出されるのも一方法であると思います。さらに、調査結果 によっては、法的アクションが必要となりますので、基本的に弁護士、弁理士との連携を視野に入れた上で、調査会社を使用されることをお勧めいたします。
Q3
弁護士事務所・調査会社の調査費用が妥当なものかわからないのですが「相場」のようなものはあるのでしょうか?
A

弁護士費用について:
国により、事務所により、弁護士の経験により異なります。香港の一流事務所の弁護士ですと、一時間500米ドルは下らないはずです。問題は、費用の多い少ないではなく、その弁護士の能力ですから、高いからやめよう、安いから使おうといったようなことでは、模倣対策の成功は望めません。いずれにせよ、対応が長期化すればそれだけ費用はかさむことになりますから、「単価」に惑わされない選択が必要です。

調査会社の調査費用について:
調査内容や対象地域により、妥当な調査費用は異なります。条件がほぼ同等であり小規模(例:小売店を対象とする)の場合は、おおよその相場があります。例えば、中国の例ですと、供給元特定調査の場合、一件あたり2500から3000米ドルかかります。自発的な調査の場合、もし可能であれば複数の見積を入手し、比較検討することも考えられるでしょう。仮に、割高と考えられる場合、交渉により調査会社が値引きに応じる可能性があります。
Q4
弁護士事務所を使わずに、調査会社だけで対策を行ってもいいですか?
A

原則的には、弁護士事務所を使うべきです。なぜなら、模倣業者に対する損害賠償請求等、法的措置を求める場合は、どうしても弁護士が必要になるからです。また、取締行政機関に対する説明等に、法的な知識が要求される場合もあります。そのような場合には、調査会社だけでは十分な対応ができません。ただし、中国などでは、調査会社単独で小売店・卸業者・製造業者の調査・摘発を行わせる場合があります。模倣品であることが明らかな場合、模倣業者に対し特段の法的措置を取らない場合がそれにあたります。当然のことながら、費用については、調査会社単独が有利です。実際、調査会社は単独でかなりの摘発成果 を挙げています。しかし、摘発が成功しないときもありますので、調査会社に全てを任すのではなく、自らも現地調査、他社との情報交換等を積極的に行い、摘発精度を高める努力が必要です。
Q5
調査会社から模倣品発見の情報がありましたが、どのように対処すべきですか?
A

調査会社から模倣品発見の情報を受けた時の対応として以下のような手順での対応が考えられます。
1.情報の吟味
(1) 調査会社の信頼性、提供された情報の中身を吟味し対応する必要があります。最低限、サンプルの入手は必要です。可能であれば、模倣業者の社名(中国であれば、英文・漢字名の両方の確認)、住所、製造・販売している模倣品(できれば写真)情報などを要求します。同時に、解決までの総費用見積もりも入手して検討されるのがよいでしょう。
(2) 調査会社は、他社の依頼で行った調査やレイドの過程で、御社の模倣品を発見し、それを元に情報を送ってくることがあります。その場合は、すでに案件は終了している可能性がありますので、調査費用の値引き交渉も可能です。 模倣品であることが確認されたあとは、放置することなく権利行使を行うべきでしょう。
3. 取締行政機関に関する質問
Q1
税関から「模倣品ではないか」との連絡を受けた場合、どう対応すべきですか?
A
可能な限り速やかに現地にて真偽判定を行うべきです。国によって違いがありえますが、真偽判定の結果 、模倣品であった場合は早急に差止申請手続を完了し、疑義貨物の留置を求めるべきです。この後、権利者は疑義貨物の留置開始の日から一定期間(10日程度、国により差がある)以内に管轄当局において疑義に関する決定の手続(日本で認定手続と言っています)を開始しなければなりません。この手続がなされないと疑義貨物は解放されてしまいます。管轄当局は国によって違いがあり、多くの場合は税関か裁判所です。いずれにしても、輸入業者に対する法的措置を行う必要もでてきますので、これら手続の詳細については、現地の法律事務所に相談してください。
Q2
海外の模倣品被害について、日本国内で相談窓口はありますか?。また、どのようなことを期待できますか?
A

海外の模倣品被害に対する相談窓口としては、以下のとおりです。
1.特許庁総務部国際課模倣品対策班    
 TEL:03−3503−4698(直通)    
 FAX:03−3581−0762    
 E−mail:nisemono110@jpo-miti.go.jp
特許庁総務部国際課模倣品対策班への相談により、各国の権利行使に関する情報提供や、アドバイスが受けられます。

2.(社)発明協会APICアジア太平洋工業所有権センター    
 TEL:03−3503−3027(直通)    
 FAX:03−3503−3239    
 E−mail:soudan@apic.jiii.or.jp
発明協会APICアジア太平洋工業所有権センターへの相談により、以下が可能です。
(1)模倣品対策の内容によっては模倣被害アドバイザー(弁護士・弁理士)の助言
(2)内外国における模倣品対策および外国出願のアドバイス
(3)工業所有権侵害対策および外国工業所有権制度ミニガイドの配布(無料)

3.(社)発明協会各都道府県支部   
それぞれの地元支部で無料相談会を開催していますので、問い合わせして下さい。
その他、各国の模倣品対策に関する情報をウェブサイトから得ることが出来ます。
(1)ジェトロ:http://www3.jetro.go.jp/iv/j/fdi/index.html
   中国・韓国・インドネシア・タイ・マレーシア・シンガポール・ベトナム・フィリピン・インド・台湾・アラブ首長国連邦 の情報
(2)(財)日中経済協会:http://www.cnip.org/index.html 中国に関する情報
(3)(財)交流協会:http://www.koryu.or.jp 台湾に関する情報
Q3
中国の模倣品対応機関で、AIC(工商行政管理局)・TSB(技術監督局)・PSB(公安局)の名前を聞きますが、違いを教えてください。
A

いずれも中国における模倣品取締を行う機関です。 AICは、工商行政管理局のことであり、商標法及び不正競争防止法に基づき取締りを行います。中央の国家工商行政管理局のもと、省レベル市レベル等、各地方行政単位ごとに組織されています。 TSBは技術監督局のことで、産品質量法を根拠に、消費者保護の観点から模倣品取締りを行います。どちらを選択するかは各都市毎、案件毎に異なりますので、現地代理人等に相談されるとよいと思います。 また、PSBは、公安局いわゆる警察のことで、重大事件や身体生命に危険のある模倣品の取締に協力してくれます。また、AICやTSBによる取締の際に危険が予想される場合、公安局がに立ち会うことがあります。
Q4
模倣対策として、税関での水際取締は有効でしょうか?制度利用のための留意点を教えてください。
A

税関での水際取締は、ほぼ全ての国で可能な制度であり、基本的に有効な模倣対策です。 また、国(中国など)によっては輸入のみならず、輸出においても税関の水際措置ができるところもあります。模倣品が国内での流通のみならず、海外にも輸出されていることが明らかな場合は、輸出相手国のマーケットに出回る前に取り締まるための有力な手段になりえます。
ただし、
(1)国により、登録方法、担保金の拠出方法など、運用面でばらつきがある。
(2)登録されていても、税関がすべての貨物を検査することは不可能であり、権利者が疑義貨物を特定して通報しなければ、税関は動かない場合もある。
(3)税関は真偽鑑定を権利者またはその代理人に委ねる。
などにより、結局は税関との日常的な意思疎通が欠かせないことになります。税関とのコミュニケーションを誰が担うのかがポイントになるでしょう。登録はしたが対応がまずかった場合、以降、税関の協力が得られにくくなることがあります。更に、差押え後の模倣品の処分・関係者の処罰等、税関での水際取締により何が期待できるかについては、各国の状況を把握した上で判断し、どのような効果が見込めるのかどうか十分吟味する必要があります。
Q5
模倣品の生産国からの輸出を阻止するには、どのような方法がありますか?
A
中国、台湾、香港などでは、税関で模倣品を差し押さえることができます。その手続きは、事前に税関で登録しておき、模倣品の輸出に関する情報を入手したならば、税関に通知することにより、差し押さえの請求をするというものです。その際、担保金が必要になる場合もあります。また、税関が職権で疑義貨物を発見し、その真偽判定を権利者側に求めてくる場合もあります。その際は、速やかな対応をすべきです。いずれにせよ、常々税関との連携を密にしておく必要があるでしょう。
4. 対策費用に関する質問
Q1
模倣対策を限られた予算で最大限の効果を出すためには、どのような点に注意すればよいでしょうか?
A

「最大限の効果」を得るためには、模倣品の供給を絶つことが必要になります。特に、製造元や大手卸業者を特定し、模倣品の差し押さえ等の権利行使を行うことが重要です。これらの作業は、一般的に調査会社や弁護士に委託することになりますが、任せきりにすると、あとになって法外な費用を請求されることにもなりかねません。したがって、調査対象・調査地域の特定を行い、費用見積もりを入手する事はもとより、内容を十分に検討した上で、場合によっては値段交渉をするべきでしょう。また、差し押さえ後は、押収品の処分や模倣品製造業者等の処罰が確実に行われたかどうかを確認しておくことも必要です。特に、模倣品を扱う卸業者は、複数のブランドを扱っていることが多いので、同業他社と共同で対策を進めることも、費用削減及びその効果の面から有効な手法です。
Q2
模倣対策の費用は日本の本社が出した方がよいですか? それとも被害を受けている現地の子会社が出した方がよいですか? また、本社が負担するとすれば、社内では、どこを負担部門とすべきですか?
A

原則として、商標権者が対策費を負担するべきです。なぜなら、侵害者に対し法的手段が取れるのは商標権者あるいは、その代理人に限られており、権利を侵害された者が主体的に対応すべきだからです。また、模倣品流通は一地域に限定されるものではないことから、グローバルな対応が必要になるという理由もあります。その費用は、知的財産権管理部門や法務部門などスタッフ部門が負担する方法と、直接的な被害を受けている事業部門で負担する方法があります。全社的なブランド保護の観点からは前者、営業戦略の観点からは後者、となるでしょう。ライセンス生産の場合は、ライセンス許可地域内での模倣品対策協力(情報提供、一部費用負担等)をライセンシーに契約上求めることも可能です。
Q3
模倣対策は、そもそもどのくらいの費用がかかるものなのでしょうか?

対策をとる国・地域により事情が異なり、また、同じ国・地域の中でも事案によって異なりますので、一概にいくらぐらいとは言えません。対策費用の種類としては、調査費用(調査会社や弁護士事務所への支払い等)と、実際の権利行使時にかかる実行費用(差し押さえ、担当者の渡航滞在費等を含む)とに大別できます。また、模倣品業者に対して損害賠償請求等を行う場合には、別途、訴訟関連費用が発生します。 これらの費用は、対象範囲、規模、どこまで依頼するか(たとえば、調査のみにとどまらず対策まで関わってもらうか)によって、かなりの差がでるのが実情であり、いかに費用をおさえつつ最大の効果をあげるかが、各社の共通した悩みどころのようです。 いずれにしても、単発の対策では効果は見込めず、継続して行うことが重要です。模倣品製造業者等は、取り締まり後、一時的には模倣品取り扱いを見合わせますが、すぐに再開する傾向にあるからです。
Q4
卸売店で、当社の偽物が発見されました。この店を取り締まりたいのですが、費用はどれくらいかかりますか?

ある調査会社では、ひとつの卸売店を摘発する際の費用を、3000米ドル+経費と設定しています。参考として、模倣対策委員会の会員企業が行った中国でのケースを紹介します。これは、南京の卸売店で発見された模倣品を、北京の弁護士が現地に数日間出張した上で、現地の行政機関に依頼して押収し、それらの廃棄処分決定を得たもので、その際、弁護士費用・交通費・宿泊費・食費、その他の必要経費合計で、約50万円の費用が発生した、というものです。いずれにせよ、少なくとも数十万円の単位で費用が必要となります。
5. その他
Q1
摘発で差し押さえられた模倣品は確実に処分されるのでしょうか?

中国の場合、差押さえられた模倣品の処分に関しては、「工商行政管理機関行政処罰手続きに関する暫定規定」に規定があり、廃棄処分にされるほか、商標を外した後、オークションにかけられることになります。確実に処分されたかどうかを確認することは、一般的には困難ですので、調査会社等に報告させるようにするとよいでしょう。実際のところは、いったん差し押さえられた模倣品が、何らかの理由で市場に流出するケースがあるようです。これは、上記規定に関わらず、中国の行政機関つまり工商行政管理局等に、模倣品の処分についてかなりの自由裁量権が与えられていることが理由であるといえます。いずれにせよ、商標権者としては、差押えを実施した場合、関係当局に対して根気強く当該商品の処分を要求し、それを確認していくことが重要であると考えます。  
Q2
模倣品業者の摘発後、どの程度の処罰が期待できるのでしょうか?

国によって法制度が相違しますが、一般的に@模倣品及び金型等道具の押収・廃棄、A刑事・行政罰としての罰金の支払い、B刑事訴訟に基づく懲役、C民事訴訟による損害賠償金支払い、等があります。ただし、中国では、模倣品の生産数量等を記載した書類が取締行政機関の管理下におかれることから、損害賠償請求の根拠を見つけだすのが困難です。
Q3
模倣対策の法的根拠は何ですか?

商標権侵害が明らかである模倣品の場合は、商標法を根拠として対応することができます。商標権がない場合でも、不正競争防止法(国により名称は異なります。)や著作権を根拠とすることも可能です。その他、特許権侵害や意匠権侵害がある場合には、併せてそれらを根拠として対応を検討することも有効でしょう。
Q4
模倣品差し押さえに社員(商標権者)が立ち会うのは危険だということをよく聞きますが、立ち会うことのメリット・デメリットは何ですか?

確かに、差し押さえ現場において、模倣品業者等から身体への危害を加えられる可能性がないわけではありません。なぜなら、彼らは犯罪組織との関係があることが多いからです。また、現場の作業員も、模倣品から生活の糧を得ていますから、突然、取締行政機関や公安に踏み込まれ、取り調べや模倣品の押収が目の前で起きれば、立会人に対して感情的になることは想像できます。 一方、当事者が現場に立ち会うことで取締行政機関に対し権利者の強い決意を印象付けることができます。また、真正品と模倣品の判断がすぐに出来るメリットもあります。 立ち会わない場合、権利者の目が届かないため、現場に緊張感が無くなり、関係者の責任感が薄れることがあります。たとえば、模倣品と判断して押収したが真正品であった例や調査会社による虚偽報告の例もあります。 現場に立ち会う場合には、先発した調査会社の調査員や弁護士の指示によって入ることをおすすめします。少し離れた場所にいて、摘発現場が沈静化してから入るなどの配慮も必要でしょう。なお、緊急の連絡のため携帯電話を持参しましょう。
Q5
海外の模倣対応は日本の本社が積極的に動くべきですか? 現地の子会社等に任せた方がよいですか?

模倣品問題はボーダレスな傾向にあり、もはや一地域の問題ではありません。したがって、グローバルなブランド保護の観点からは、日本の本社が積極的に動くべきです。商標権侵害等の取締りをする根拠となる権利は、日本本社に帰属していることもその理由のひとつです。一方、現地子会社に任せた場合、取締行政機関から真偽判定等を要求された際に、現地ならではの迅速な対応が期待できるというメリットもあります。いずれにせよ、どちらか一方でできる作業ではないので、両者の協力体制が不可欠です。
Q6
商標権は侵害されていませんが、当社製品と模倣品の形状が類似しています。どのような法的追求方法が考えられるでしょうか?

意匠権があり、模倣品の形状が意匠権の類似範囲に入っていれば、意匠法に基づき取り締まりを行う事が出来ます。意匠登録をしていない場合にも、その製品の形状が周知されている場合には、不正競争防止法等による取り締まりの可能性があります。不正競争の考え方、適用基準等は国により大きく異なっていますので、現地弁護士に相談することをおすすめします。また、消費者が誤認して購入する可能性が高く、安全性に問題がある場合には、品質管理局等、消費者保護機関に申し立てる事も考えられます。